徹底考察!『エイリアン: コヴェナント』解読記 ─ 謎の数字、聖書のストロングナンバーに置き換えると…?

米国での公開が2017年5月19日と、もういよいよゼノモーフの尻尾の先くらいには手が届くよね?というくらい目前まで迫ってきているリドリー・スコット監督の『エイリア: コヴェナント』。本作品を待ち望んでいる『エイリアン』シリーズ愛好家は日本でも相当な数に上るに違いない。

© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved

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本作品に関するプロモーションは、昨年(2016年)のクリスマスに公開された初のレッドバンド予告編映像を皮切りに、日を追うごとに、特に本国アメリカでは加熱を見せている。ただもしかしたら、過去の様々なプロモーションの多くを見逃している方も多いかもしれない。個人的には、本編鑑賞前のネタバレを危惧して最新の予告編にはあえて目を伏せているものの、本作品の製作発表の段階からつぶさに注目し続けているので、ほとんどのプロモーションや、細かな噂話にまでも目を向けてきた。ただひとつだけ、今でも謎の残るプロモーションが存在するのである。今回はその話題に触れてみたいと思う。

ちなみに日本での公開は依然として9月とだけしか発表されていないが、いずれにせよ米国公開に比べると随分な時間差が生じるため、気を揉んでいる方も多いと思う(自分自身がそうなのだけれどね…)。今回の話題はそんな方の暇つぶし的な息抜きにでもなれば幸いだと感じるが、あるいは逆に、火に油を注いでしまうかもしれないけれど。

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写真に忍ばせられた謎の数字

さて、本格的な公式プロモーション開始は以前にもお伝えした通り、2016年11月23日に初の公式ポスターヴィジュルアルが公開されたことに遡る。詳細に関しては過去の記事に譲りたい。

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2017年公開を予定している、リドリー・スコット監督の『エイリアン: コヴナント』(Alien: Covenant)。この作品は、同じくリドリー・スコットの代表作である『エイリアン

 

 

その後、11月30日のリドリー・スコット監督79歳の誕生日を通過しつつ、12月19日から23日までの5日間に渡って、物語のシーンを匂わせる5枚の写真が公開されている。そしてそれぞれの写真には、12桁の謎の暗号的数字が書き込まれているのだが…、その意味が依然として不明のままなのである。この暗号の答えに関してはインターネット上でもちらほら噂されていたので、もしかしたらすでに解読されているか、あるいは意味が発表されていかるのもしれないが、個人的に探した限りでは明確な答えは浮かび上がって来なかった。だったら独自に考察してみようじゃないか、というのが今回の趣旨である。まずは以下の写真をご覧いただきたい。

 

 

12月19日に公開された写真、これはコヴェナント号(USCSS COVENANT)に乗船しているウェイランド・ユタニ社の乗組員、もしくはその中でもセキュリティー部隊の姿だと言われている。記された数字は「220512052104」、これは当初12月22日12時(05を無理やり付加して12時5分とも言われていたが…)という日時と、2104年という年号を表しているという噂が飛び交い、日時に関しては初の予告編映像公開日を指し示している!と解釈されていたが、22日には予告編は公開されておらず、前述のように新たな別の写真が公開されただけだった。一方2104年というのは本作品の舞台となる年号で、前作である『プロメテウス』の10年後だとされている。では次の3枚の写真をご覧いただきたい。

 

 

 

 

12月20日に公開された写真は、おそらくコヴェナント号の船内にある冷凍睡眠用ポッドだと思われる。ほとんどのポッドは稼働中であり内部に人の姿が見受けられるが、ひとつだけ停止しているものが確認できる。12月21日に公開された写真はその造形から見るに、どうやら前作『プロメテウス』に登場した“エンジニア”と呼ばれる地球外知的生命体の宇宙船内、あるいは本作品で描かれるのではないかと言われている彼らの惑星にある施設内ではないのかと推測される。そして12月22日に公開された写真、こちらもどうやらコヴェナント号の内部のようだが、大量の血痕から察するに“アレ”による襲撃の後か、あるいは乗組員の体から寄生体である“アレ”が飛び出した後の光景のようである。

12月20日以降のいずれの3枚の写真にも、同じように数字だけが記されている。

そして12月23日に公開された最後の写真、真っ白い無機質な室内に置かれたグランドピアノに向かう人物、これは当初マイケル・ファスベンダーが前作で演じたアンドロイドの“デヴィッド”だと思われていた。

 

 

 

しかしこれ以降のプロモーションでこれがウォルターというデヴィッドと同タイプのアンドロイドであるということが判明する。以下のプロモーション映像がそのウォルターに関するものである。

つまり本作品では、前作のラストで、ノオミ・ラパスが演じるエリザベス・ショウと共にエンジニアの惑星を目指すことになったデヴィッドと同じ容姿をした別物のアンドロイド、この“ウォルター”がコヴェナント号に乗船しているという設定なのである。 過去の『エイリアン』シリーズでも、ウェイランド・ユタニ社の宇宙船には必ず一体アンドロイドが同乗している。 ジェームズ・キャメロン監督の『エイリアン2』では、ランス・ヘンリクセンが演じるランス・ビショップというアンドロイドが登場しており、このアンドロイドは引き続きデヴィッド・フィンチャー監督の『エイリアン3』にも登場する。そしてもちろんリドリー・スコットの『エイリアン』にも、あっ、これに関してはもし未鑑賞なら実際にご自身の目で確認していただくことをおススメする。そしてさらに、クロスオーバー作品である『エイリアンVSプレデター』にも、『エイリアン2』以降のアンドロイド“ビショップ”問題として重要な人物が登場している。この人物もランス・ヘンリクセンが演じているのだが、こちらも詳細を話してしまうと未鑑賞の方の楽しみを損なう可能性があるので、未鑑賞の方は本編でご確認いただきたい。

謎の数字を読み解く

さて、問題の数字に関して読み解いてゆこう。

前述の通り2104というのが仮に年号だと解釈して取り去ると、順番に「13011206」、「18561208」、「22461207」という数字が残る。そして最後の写真には数字はなく、「————」と記されている。12月20日の時点では予告編公開の“マイクロ秒”カウントダウンではないのかとも噂されていたが、どうやらそうでもないようである。ただ最後の写真はあたかも何らかのカウントダウンが終了したかのようにも捉えることが出来る。

ここですべての数字の共通項を探してみると、後半4桁の部分が連続的な日付になっているようにも見える。「1301 – 12月6日」、「1856 – 12月8日」、「2246 – 12月7日」ということ。こう考えると一番最初の数字「22051205」は「2205 – 12月5日」、物語が2104年の12月5日から12月8日まで間の出来事だということだろうか?しかし、下4桁が物語に対応したシーンの時系列だとして、では前半の数字が意味するものは?

少し頭をひねった挙句に、本作品のタイトル“コヴェナント”が聖書に深く関わっているという視点に切り替えてみる。

聖書で”コヴェナント”を解読する

製作発表当初、リドリー・スコットは『プロメテウス』に続く第二章に言及した際、続編のタイトルは『エイリアン: パラダイス・ロスト』だと語っていたのだが、その後の正式発表で『エイリアン: コヴェナント』と変更している。物語の中でコロニー船に付けられている名称“コヴェナント”(Covenant)という言葉自体の意味は「契約」、「盟約」、あるいは「誓約」などと訳され、神学でいうところの“神とイスラエル人との間の聖約”という意味も込められている。

また本作品のキャッチコピーのひとつにも、「The path to paradise begins in hell.(楽園への道は地獄からはじまる)」というものが掲げられている。この言葉は、英国の詩人ジョン・ミルトンの『失楽園』にある、「Long is the way and hard, that out of Hell leads up to light.(地獄より光明に至る道は長く険しい)」という言葉に少なからず関係があるように思われる。前述のように当初のタイトルが『エイリアン: パラダイス・ロスト』だったということからも、物語の背景には“失楽園”というテーマが隠されていることは明らかだろう。 

 

 

そこでこの数字の意味を聖書に見出すべく、前半部分の4桁の数字を“ストロングナンバー”に置き換えてみることにする。ストロングナンバーとは、ドリュー大学の聖書解釈学の教授ジェームズ・ストロングが、英訳聖書の各単語とそれに相当する原語の単語の対照表を作成し、その各単語に付けた番号のことである。それに習って数字を変換すると以下のような言葉が浮かび上がってくる。

  • G2205=「熱意、追求する、嫉妬」
  • G1301=「継続的、慎重に
  • G1856=「居住地から追放する」
  • G2246=「太陽の光」
  • H2205=「古い人間、権限を持つ高齢者」
  • H1301=「バラク(Barak)、稲妻」
  • H1856=「穿孔する、謎めいた」
  • H2246=「ホバブ(Hobab)、大切に」

例えば「1856」のように、一部写真のイメージと合致するような言葉もあるが、これだけ見てもあまり意味を理解することは出来ない。そこでこの言葉を元に、さらに深く掘り下げてゆくことにする。聖書に出てくる言葉が、いったいどの箇所に記述されているものなのかをまとめた「コンコルダンス(語句集)」というものが存在する。このコンコルダスの用途としては、例えば聖書に書かれたある箇所の語句の意味がまったく分からない時などに、その語句が他の箇所でどのように使われているのかを調べることによって、その意味合いが分かってくることがあるという。あるいは、同じ語句が使われている聖書の箇所を集めていくと、ひとつの物語が見えてくる場合があるというわけなのだ。

というわけで以下、該当の言葉から導き出され、かつ写真に通ずるように思われる聖書の箇所を抜き出してみる。

「2205」

彼はわたしの勧めを受けいれ、そして更に熱心になって、自分から進んであなたがたのところに行った。『コリント人への第二の手紙 』

これがその起源も古い町、自分の足で移り、遠くにまで移住した町、あなたがたの喜び誇る町なのか。『イザヤ書』

神は、「新しい」と言われたことによって、初めの契約を古いとされたのである。年を経て古びたものは、やがて消えていく。『ヘブル人への手紙』

 

 

「1301」

一同にむかって言った、「イスラエルの諸君、あの人たちをどう扱うか、よく気をつけるがよい。『使徒行伝』

ミデアンの長老たちに言った、「この群衆は牛が野の草をなめつくすように、われわれの周囲の物をみな、なめつくそうとしている」。チッポルの子バラクはこの時モアブの王であった。『民数記』

 

 

1856

神は人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、回る炎のつるぎとを置いて、命の木の道を守らせられた。『創世記』

人々はあなたがたを会堂から追い出すであろう。更にあなたがたを殺す者がみな、それによって自分たちは神に仕えているのだと思う時が来るであろう。『ヨハネによる福音書』

穴を掘る者はみずからこれに陥り、石がきをこわす者は、へびにかまれる。『伝道の書』

 

 

 

2246

主の大いなる輝かしい日が来る前に、日はやみに月は血に変るであろう。『使徒行伝』

さて、モーセは、妻の父、ミデヤンびとリウエルの子ホバブに言った、「わたしたちは、かつて主がおまえたちに与えると約束された所に向かって進んでいます。あなたも一緒においでください。あなたが幸福になられるようにいたしましょう。主がイスラエルに幸福を約束されたのですから」。『民数記』

 

 

いかがだろうか?依然としてぼんやりとしていることには変わりなく、これが答えだとは正直言い難い。そして、この選択はあくまで個人的な見解であり、聖書学に基いた物語の意味合いは除外して、言葉の意味合いのみでの憶測で選んだ表面的な抽出に過ぎない部分も大いにある。ただ、本作品の物語で語られる楽園と地獄というものを予見させるような表現が多く含まれているように見て取れなくもない。写真の説明としてもなかなかいい線を突いているようなものもある。もちろん聖書のどこかを開けばそれらしい事柄が書いてあるでしょ!と言われれば身も蓋もないが…。

だたもうひとつ、最後のウォルターの写真には、なぜ数字が記されていないのか?という問題がある。もちろん、前述のストロングナンバー、そして聖書に大いに関わりがあるからではないのかと推察する。

エンジニアたちがもし人間を創造した存在、聖書で言うところの神なのであれば、ウォルターに対する人間の存在は、人間に対する創造主たるエンジニアと同一のものだと言える。本作品で描かれる未来では、神が創造した人間が神に似た力を得て、その力で新たに人造人間を創造しているということになる。つまり聖書に該当するストロングナンバーが記載されていない理由は、このウォルターという存在は、過去の聖書では説明の出来ない、宗教的な意味合いを持たない新たなる存在だという暗示なのではないのだろうか。

またそれを裏付けるものとして、ウォルターが座ってる無機質な部屋、あれはスタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』のラストシーンに登場する白い部屋を想起させる。そしてキューブリックは本作品に触れて「科学的に定義された神」という表現を用いている。つまり、生命が究極の進歩を遂げると、人間にとっての神に等しい存在になるが、それは宗教的意味合いにおける神とは異なるものであるということを描いた作品でもあるわけだ。リドリー・スコットはそのことを踏まえて、同様の命題を『2001年宇宙の旅』の白い部屋に酷似した場所に座るウォルターのシーンとして描いているのではないだろうか。そしてそこにはもちろん、聖書は介在しないためストロングナンバーは存在しないのである。

実際にはこの数字が何を意味するものなのかは、現時点では明確にはできなかったが、ここからさらに踏み込むことができれば、つまり聖書の内容にまでその理解を伸ばせば、より明確な答えを得られるのではないのかという手応えは掴めたように思う。そして本作品の核となる場所にある程度近い着地点には到達出来たのではないのだろうか。

というわけで、この話題は本編鑑賞を踏まえての継続調査とさせていただいて、もしまた機会があれば触れてみたい。

最後になるが、この数字が実は何を意味するのかをすでに知っている方、こっそりと教えていただきたい。

※聖書の言葉はすべて「原語で聖書検索」http://gengodekensaku.com/より引用

Eyecatch Image:https://twitter.com/AlienAnthology/status/844896574794694656

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週に1回くらいのペースで、ついつい『八月の鯨』を観てしまう今日この頃。Busy, busy, busy, always busy.

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