リブート版『ヘルボーイ』俳優降板騒動、韓国人新キャストが契約交渉へ ― キャラクターの「白人化」問題で

デヴィッド・ハーバー主演、ニール・マーシャル監督による人気コミックの再映画化『ヘルボーイ(仮題)』には、2017年8月下旬よりキャストの降板騒動が浮上していた。米ハリウッド・レポーター誌によると、このたびその状況に大きな進展があったようだ。降板した俳優に代わって、新キャストが出演に向けての契約交渉に入っているという。

本作における騒動の原因となったのは、昨今のハリウッドにおいて重大な問題とされている登場人物のホワイトウォッシング(白人化)だ。その発端は、日系アメリカ人であるベンジャミン・デイミオ役に白人俳優のエド・スクラインがキャスティングされたことだった。

ヘルボーイ
人気コミックを原作とした、リブート版映画『ヘルボーイ(仮題)』に『デッドプール』(2016)で悪役を務めたエド・スクラインが出演することがわかった。米ハリウッド・レポーター誌が報じ

韓国人俳優のダニエル・デイ・キムが登板へ

『ヘルボーイ』に登場するベンジャミン・デイミオというキャラクターは、怒ったり傷つけられるとジャガーに変身するという能力を持つ元海兵という設定。当初キャスティングされたスクラインは『デッドプール』(2016)で悪役のフランシス・フリーマン/エイジャックスを演じ、コミックファンにも広く知られるようになった俳優である。

しかしスクラインの出演が発表されるやいなや、祖母が日本人という設定のデイミオにスクラインがキャスティングされたことにファンなどからの批判が殺到。詳しい設定を知らずに仕事を引き受けたというスクラインは声明を発表し、出演発表から約1週間で『ヘルボーイ』を降板するに至っていた。

「このキャラクターを文化的に適切なかたちで表現することが人々にとって有意義だということです。この責任を無視すると、芸術における民族的マイノリティの物語や声を覆い隠してしまうという厄介な風潮を続けることになってしまいます。私はそうしたものを尊び、敬意を払うことが大切だと感じています。」

製作を担当するライオンズ・ゲート社は、こうしたスクラインの判断を後押しする形でデイミオ役の再キャスティングを決定していた。そして、このたび新キャストとして出演交渉に入っていると報じられたのが韓国人俳優のダニエル・デイ・キムである。

Photo by Ronald Woan ( https://www.flickr.com/photos/rwoan/4854892514/ ) / Remixed by ORIVERcinema

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映画『スパイダーマン2』(2004)や『クラッシュ』(2004)、ドラマ『LOST』(2004-2010)などに出演してきたキムは、映画やドラマなど幅広い作品で活躍する人物だ。
しかし2017年6月には、白人キャストとの出演料に差があることを理由に、主要キャストとして出演していたドラマ『HAWAII FIVE-0』(2010-)から降板。放送局であるCBSとの交渉が決裂したことを明かしていた。アメリカのテレビ・映画業界がはらむエスニシティの問題と戦った俳優として、今回の起用は非常に自然なものといえるだろう。ただし現時点ではまだ出演交渉中であり、スクラインの後を継いでデイミオ役を演じることが正式に決まったわけではない。

ひとつだけ気になるとすれば、日系アメリカ人の役に白人俳優をキャスティングしたことが物議を醸したあと、そこに日本人ではなく韓国人の俳優が配役されるということだが……この違いは些細なものとして受け止めるべきだろうか。たとえばイギリス人の役をアメリカ人が演じたり、またその逆があったりということに、多くの観客があまり注意を払っていないのと同じように。

Sources: http://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/daniel-dae-kim-talks-replace-ed-skrein-hellboy-reboot-1037038
http://variety.com/2017/film/news/daniel-dae-kim-hellboy-replaces-ed-skrein-1202554652/
© Revolution Studios 写真:ゼータ イメージ

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1989年生まれ。ORIVERcinema編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはわかりづらいまま、少しだけわかりやすくしてお届けできればと思っております。

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