【考察】『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は世界情勢になぞらえられている?隠された政治的メッセージを読み解く

2016年11月に、『ハリー・ポッター』の新シリーズ第1弾、『ファンタスティックビーストと魔法使いの旅(以下ファンタビ)』が公開されました。ネット上には様々なレビューが掲載されていますが、私は本作に現代の世界情勢のメタファー、そしてJ・K・ローリングからのメッセージが込められているではと考えました。その考察について書きたいと思います。

世界情勢と関連がある?

私はこの作品を見て最初に、ある意味で『ハリーポッター」シリーズよりも現代的なのではないか、という印象を持ちました。なぜなら、明らかに現代の世界情勢を踏まえたストーリー設定になっていると感じたからです。そのように感じたポイントをいくつか挙げます。

世界情勢とのリンクポイント1 テロが多発

ご存知の通り、近年、ヨーロッパではイスラム教過激派によるテロが多発しています。この映画でも、冒頭の新聞記事のシーンより、テロが多発していることが伺えます。

世界情勢とのリンクポイント2 政治で過激勢力が台頭

伝統的に移民受け入れに寛容な政策をとってきたヨーロッパですが、近年は移民が増え、「移民が自分たちの税金を奪っている”」「移民がテロを引き起こす」と考え、移民に対して良い印象を持てない人も増えています。するとその考えを票にしようとする勢力が現れるのが民主主義。移民の受け入れに反対することを売りにする政党が票を伸ばしています。

これが映画に登場する過激派勢力『新セーレム救世軍』のモデルとなったのは間違いないでしょう。

以上より、『ファンタビ』は明らかに現代の世界情勢を踏まえていると考えられます。

『ファンタビ』に隠された政治的メッセージ

ではなぜ作者(J・K・ローリング氏)は現代情勢を踏まえたのでしょうか。

私の勝手な想像ですが、作者にはこのシリーズを通じて、何かしらのメッセージを発信する目的があるのだと思います。では今から、そのメッセージを読み解いていきましょう。

あなたが映画監督になったとします。もし映画を通じてメッセージを発信するとしたら、どんな方法を使いますか?
私が思いつく方法は2つです。

1つ目の方法は、主人公の言動を通じてメッセージを直接発信する方法。
2つ目の方法は、少々回りくどいのですが、悪役にアンチテーゼ(本当に伝えたいテーマと反対のテーマ)を発信させる方法です。

『ファンタビ』では、この2つ目の方法でメッセージを発信していると考えられます。

『ファンタビ』における悪役は2人。一連のテロの黒幕『ゲラート・グリンデルバルト(グリンデルバルト卿)』と『新セーレム救世軍』のリーダー、メアリー・ルー・ベアボーンです。一方は最強の魔法使い、もう一方はノー・マジと相反する二人ですが、基本的な考え方は全く同じで、本作のアンチテーゼに当たる「魔法界と人間界は共存できない」というアイデアを持っています。

新セーレム救世軍のリーダー、メアリー・ルー・ベアボーンhttp://www.imdb.com/title/tt3183660/mediaviewer/rm3157197056

新セーレム救世軍のリーダー、メアリー・ルー・ベアボーンhttp://www.imdb.com/title/tt3183660/mediaviewer/rm3157197056

ジョニー・デップが演じる悪役、ゲラート・グリンデンバルト http://www.imdb.com/title/tt3183660/mediaviewer/rm3280681472

ジョニー・デップが演じる悪役、ゲラート・グリンデルバルト(グリンデルバルト卿)http://www.imdb.com/title/tt3183660/mediaviewer/rm3280681472

悪役の言うことをひっくり返せば、『ファンタビ』に作者がこめたメッセージになるはずです。つまり、「魔法界と人間界は共存できる」、抽象化すれば「違いを認め合うことの大切さ」というメッセージがあることになります。 

「違いを認め合うことの大切さ」が軸にあるとすれば、劇中の様々なことにつじつまが合います。ファンタスティックビーストの個性の豊かさ、ノーマジが冒険に参加すること、ニューヨーク(=人種のサラダボウルと呼ばれる都市)が舞台になっていることなどは決して偶然ではなかったと考えられます。奥深いですね。

政治的メッセージとして受け取るなら?

では「違いを認め合うことの大切さ」をもっと展開して、政治的メッセージとして受け取るとしたら?

これまた私の勝手な想像ですが、『ファンタビ』に政治的メッセージがあるとしたらそれは「保守批判」のメッセージ、具体的には「イギリスのEU離脱、トランプ旋風などの流れには反対だ」というメッセージではないでしょうか。

イギリスのEU離脱も、トランプ氏の当選もヨーロッパで過激政党が票を伸ばすのも、根底にあるのは結局、大多数とは異質なもの(移民、イスラム教徒)に対する理解の無さや差別意識だと思います。

そこで、作者は「違いを認め合うことの大切さ」を伝えることで、現状に反対していることを示し、その意見を理解してほしいと思っているのではないでしょうか。実際、J・K・ローリング氏はEU離脱の国民投票の際、残留を主張していたので、私はこの説に対してかなり自信があります。

以上の分析から、続編の展開を予想してみましょう。現代情勢を踏まえたストーリーですから、これからの世界の動きによって『ファンタビ』の続編、エンディングが変わるかもしれません。『ファンタビ』のこれからを想像しながらニュースを見るのもなかなか楽しそうです。

Eyecatch Image:http://www.popsugar.com/entertainment/Who-Plays-Gellert-Grindelwald-Fantastic-Beasts-42718603

About the author

2000年生まれの高校生。天下の台所で、映画愛を叫ぶ。

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Comments

  • 匿名 2017年1月9日 at 1:12 AM

    http://www.kousuku.com/entry/20161123/FantasticBeasts
    感想の欄 パクリだよね

    Reply
    • Haru Morita 2017年1月14日 at 9:14 PM

      ご報告ありがとうございます。
      URLを添付して頂いた記事も含め、インターネット上の記事は一切参考にしていません。作者の立場に立って考え、論理を展開させた結果たどり着いた、独自の意見です。
      似たような感想がすでにネット上に上がっており、「パクリ」と思われてしまったことは残念に思いますが、逆に同じような感想を持つ人が世の中にいることが分かり、うれしくも思います。
      これからもお読みいただければ幸いです。ご報告本当にありがとうございました。

      Reply