エイリアンに隙ありすぎじゃない?映画『インデペンデンス・デイ リサージェンス』レビュー

『インデペンデンス・デイ リサージェンス』評価・感想

1996年に公開されたウィル・スミス主演『インデペンデンス・デイ』の続編。

あの独立記念日から20年
エイリアンから鹵獲した技術を転用し、来るべき日に備え 人類のテクノロジーは大きく進化していた。
万全の準備をしていた人類であったが、前回を遥かに凌駕する大きさの宇宙船の襲来により 瞬く間に都市は破壊されていく。
圧倒的不利な状況にありながらも、あきらめず戦い続ける人類。
絶望の最中にあっても 希望の灯を絶やさず立ち向かう人間の心を描いた作品だ。

ぼくらが生きる現実と同じだけの時が流れた世界
言わば、1996年を起点とし エイリアンの来訪があった世界となかった世界
なかった世界にいるぼくらにとって、劇中で描かれる出来事は辿らなかった方の道
パラレルワールドだ。

エイリアンからもたらされた技術により その世界は大きく発展しているが、そこにある人の心は変わらない。
ぼくらと同じ人間であった。

それを印象付けるシーンが序盤にある。
昨今 地球の危機となると、鉄の鎧を身に纏ったヒーローやスーパーソルジャー計画によって生まれたヒーロー 神々の世界に住まうムジョルニア使いのヒーローなどが持てる力を振り絞って勇敢に戦ってくれる。

だが、今作にそんなヒーローは登場しない。

ムジョルニア使いにそっくりなジェイク(リアム・ヘムズワース)は、宇宙空間での作業中に起きたトラブルに対し 身の危険を顧みず勇気を持って立ち向かう。

その姿はぼくらと何ら変わらない。
ぼくらと同じ人間が、自らの意志を持って行動する。

この作品はそういう作品なのだと
目の前に迫る危機に立ち向かうのはスーパーヒーローなどではなく、ぼくらと同じ人間なのだということを理解させてくれた。

1996年当時小4であったぼくも今では29歳
前作から継続して登場する人物達も同じだけの時を過ごしていた。
スクリーンに映し出される彼らの姿は、まるで20年振りに再会した友人のように感じられ とても嬉しかった。

そんな喜びも束の間、来るべき時が訪れる。
前作においてSOS信号を出していたエイリアン達の仲間が地球へと飛来する。

その圧倒的な宇宙船の大きさに絶望した。
そう、ここまでは本当に楽しめた。

だが、その後の大まかな構図は前作と変わらない。
大きさ以外において、前作を超える絶望を与えてくれることはなかった。

抜け出すことが不可能だと思える絶望があってこそ、僅かに芽生える光に希望を見出せる。
それを成立させるだけの絶望感が圧倒的に欠けていた。

エイリアン達に隙があり過ぎではないだろうか。
どういった内容のSOSが彼らに届いていたのかは分かり得ないが、一度敗北を喫した相手に全く同じ手立てで攻めてくるものだろうか。
人間を警戒した上で、今度は一切太刀打ちできない策を講じてくるものではないだろうか。

デカさ以外のヒネリが何もなかった気がする。

20年前の戦いにおいて捕獲されていたエイリアン達においても、仲間の来訪に歓喜するのは構わないが 人間側にとって有益な情報をベラベラと喋り過ぎている。

エイリアン側を応援するわけではないが、重力を操る攻撃をエンドレスで繰り返していれば勝てた戦いではないだろうか。
ベラベラ喋るエイリアンがヒントを与えていなければ勝てた戦いではないだろうか。
前作において決死の覚悟で解除したバリアーの存在があんなものでいいのだろうか。

エイリアンが地球人を完全に舐めきっていたのか
作り手側によってエイリアン達がチープであったのか

どちらにせよ、果てしない絶望を感じることはなかった。

もたらされる希望の灯も 人間達の胸の内から湧き出たモノであるようには感じられず、その結末にぼくは希望を見出せなかった。

人間は 人類は 生物は、争う道しか歩めないのかと
相互理解を深める道を端から捨て去ってしまった世界に希望はあるのかと

やられたらやり返して、やり返されたからまたやって

その果てにあるものは、本当に希望なのだろうか。

深い絶望を 人類の可能性を見せつけて欲しかった。

インデペンデンス・デイ リサージェンス レビュー
まず、本作の鑑賞前に前情報として、本作『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』の監督ローランド・エメリッヒの「昨今のアメコミヒーロー映画についての批判」を知っておくと、一層味わい
3.6
総合評価:C

インデペンデンス・デイ リサージェンス

青春
4
2
エロ
2
サスペンス
6
ファンタジー
4

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.s[email protected]

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Comments

  • リサージェンス – 噂のニュース 気になる話題 2016年7月10日 at 2:54 PM

    […] く進化していた。 万全の準備をしていた人類であったが、前回を遥かに凌駕する大きさの宇宙船の襲来により 瞬く間に都市は破壊されていく。 圧倒的不利な状況にあり (続きを読む) […]

    Reply
  • Yoshiko Nakano CL 2016年7月13日 at 3:23 PM

    まだ劇場で予告編を見ただけですが、作り手側に「こんなの作ってみました。どうでしょう?」感を漂わされて、一気に金払って見に行こうという気が失せました。やっぱり金とって見せるものは「どんなもんじゃい!」という圧倒感もないまま作っちゃだめです。それプラス、母船の大きさをフレームいっぱいで表現するという手を3Dで使った場合、戦闘機のほうを豆粒サイズにしなければならないのは致し方ないでしょうが、3Dでそれを手前に持ってくると、まるで”ウンカ”か”ショウジョウバエ”がたかってるようにしか見えず、3Dの効果は、クローズアップショットを使えない画面には向かんと痛感したしだい。予告編だけでここまで失望できたので、たぶん行きません。笑

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