映画はまさに“光と影”!マケドニアのアーティストが描く、名作映画のトリビュート・アートが美しい

マケドニア共和国の首都スコピエで1985年に生を受けたマルコ・マニェフ(Marko Manev)さん。彼はマケドニアを拠点に活動するコンセプチュアル・ミックス・メディア・アーティストであり、グラフィックデザイナー、そしてイラストレーターでもある。

彼は美術学校を卒業した後、広告のグラフィックデザイナーとして働いていたが、加えて、いくつかのNGOや文化組織に参加し、その美術講師や執行責任者も務めている。また現在では短編コミックも手掛けるなど、美術と、そしてポップカルチャーにおけるトリビュート・アートシーンの両方で活発に活動するアーティストである。

そんな彼が展開する、映画作品をトリビュートした「シンボリック・シルエット」あるいは「アイコニック・シルエット」とでも呼ぶべき作品群を、今回は取り上げてみたい。

マケドニア共和国、スコピエ

その前に、ちょっとだけ寄り道の余談となるのだが、マニェフさんの出身地であるマケドニア共和国のスコピエという都市はいったいどんな場所なのだろうか。例えばアメリカのニューヨーク出身と言われれば、何となくだがその生活環境は想像できる。しかし、マケドニアのスコピエと言われて、「あ~、なんだスコピエなんだ!」と思う日本人はおそらくは少ないと思う。

スコピエはマケドニア共和国の首都であり、国内最大の都市でもある。そしてマケドニア共和国の全人口の3分の1がスコピエに居住している。つまり同国の政治、文化、経済、学術の中心都市なのだ。古代ローマ期にはスクウピの名で知られていたそうである。このスコピエ周辺には紀元前4000年頃から人々が居住しはじめたそうで、その新石器時代の集落跡が、現在のスコピエ中心部を見下ろすケール城塞(スコピエ城塞)周辺で発見されている。歴史の中では、東ローマ帝国、第一次ブルガリア帝国、セルビア帝国、オスマン帝国など、様々な勢力の支配下に置かれながら、その後に起こる2つの大きな世界大戦の影響も大いに受けつつ、最終的には1991年にユーゴスラビアから独立し、マケドニア共和国の首都となっている。ちなみに1979年のノーベル平和賞を受賞したコルカタの聖テレジアことマザー・テレサは、オスマン帝国のユスキュプ、つまり現在のスコピエ出身である。

“光と影”のトリビュート・アート

さて、ではそんなスコピエ出身のマニェフさんの作品をいくつかご紹介しよう。

“Mutants”と名付けられた作品、背後の影はセンチネルかな、ということは『X-MEN: フューチャー&パスト』(X-Men: Days of Future Past)であろう。なんだか昔のロボット映画のようでもあり、シックで美しい。

Mutants

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こちらはフランクリン・J・シャフナー監督の『猿の惑星』(Planet of The Apes)より、あの衝撃のラストシーンがモチーフ。ちなみに本作の原作者であるピエール・ブールは、フランス領だったインドシナで有色人種を使役していた農場の監督をしていたという経緯があり、戦時中に日本軍の捕虜となった経験、つまり白人と有色人種の立場逆転を経験したことから『猿の惑星』を執筆したのだと、某都市伝説番組で聞いたことがある。日本人の暗喩として人間を支配する猿を描いたわけである。しかし実際には、ブール本人がこの話題に言及したことはないらしく、またブールはそもそも日本軍の捕虜などにはなったことがなく、彼を捕虜にしたのはヴィシー政権下のフランス軍であり、この話の証拠となるものは何もないそうである……。

PLANET OF THE APES

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続編の製作が決定して話題を呼んでいる、リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』(Blade Runner)より。確かにこのシーンは、ここに描かれているそのままだったような記憶がある。煙草の煙が印象的だ。『ブレードランナー』と言えば、個人的にはやはり冒頭の屋台での食事シーンだが、さすがにあのシーンはチョイスしなかったようである。

Blade Runner

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トリビュート・アートには必ずと言っていいほど登場する、ジョージ・ルーカスのスター・ウォーズ(Star Wars)。こうやって描かれると、完全なホラー映画に見えるけれど……。ジャワだけじゃなくてR2-D2もC-3POもホラー、でもすごく美しいね。双子の太陽が覗いているのがポイントだね。

Star Wars

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今や世界に名が轟く宮﨑駿の作品もある。『となりのトトロ』、クスノキの雄大さがよく表現されていると思うなあ。これ、色のないバージョンで描いたら、やっぱり絶対にホラー映画になると思う。そもそも『となりのトトロ』って、見方によってはすっごく恐い映画だもんなあ。

となりのトトロ

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最後に、公開までもはや秒読みとなった『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(Rogue One: A Star Wars Story)……ではないのだが、およそ1年前に公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒(Star Wars: The Force Awakens)より。砂漠に墜落しているスター・デストロイヤーの残骸を予告編で観た時には震えたもんなあ。

Star Wars: The Force Awakens

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そしてカイロ・レンも。これは光と影で描くのにふさわしいシーンだと感じる。

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というわけで、マルコ・マニェフさんの作品はこちらでも存分に堪能できるし、作品自体の販売もしているので、ぜひ覗いてみていただきたい。

「映画や写真はモノクロに限る!」という人が、特に年配の方にはけっこういるけれども、たしかにその世界はカラーに比べると大いに力強いし、奥行きのレベルが違う。それはもしかしたら、色のない世界のほうが、より想像力を掻き立てるからかもしれないね。

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ジョージ・A・ロメロの眼鏡が日に日に大きくなっているような気がする今日この頃。

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