遂にアカデミー賞舞台にまで!ジミー・キンメルvsマット・デイモンの名物“確執コント”の歴史を詳しく辿る

第89回アカデミー賞、大方の日本メディアは、世界が注目する映画の祭典で「反トランプ発言がどれほどされるか」など、政治的な側面を気に掛けていた媒体が多かったが、せっかくのオスカー・ナイトである、そればかりでは些か窮屈ではないか?
司会がジミー・キンメルと聞けば、自ずとハリウッド・ゴシップ好きな私のような人間なら、あの人気俳優の顔が脳裏に思い浮かんでくるだろう……そう、マット・デイモンだ。

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しかも、マットは、今回のアカデミーで作品賞にも選ばれている『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の製作に名を連ねているので、製作陣として当然、会場に来ていた。流石にオスカーの場では、全世界が見守る中でアメリカの深夜のトーク番組の内輪ネタはしないか……と思っていたが、やはり、やった。思わず、私も爆笑、「ナイス!」と拳を握ってしまった。

第89回アカデミー賞の本当の見所はジミー・キンメルvsマット・デイモンの確執コントにあり

エンタメ好きなら、ご存知の方も多いとは思うが、よく知らないという方の為にも、まずは、ジミー・キンメルvsマット・デイモンの確執コントの歴史を振り返りたい。

そもそもの発端は、ジミー・キンメルが、自身が司会を務める人気深夜トーク番組『ジミー・キンメル・ライブ』(2003年から続く長寿番組)の終わりで毎回「マット・デイモン、時間が無いので、君の出番はキャンセルだ」と、出演してもいないマット・デイモンをネタにしはじめたことから始まる。

とことんネタにされるマット・デイモン

そして、2006年、満を持してマット・デイモン本人が当番組にゲストで出演する。しかし、キンメルのマットの紹介が、やたらと長く、番組は終了する。マットは本当に、ただ登場しただけで、エンディングの背景で、マットが顔を赤らめてキンメルを罵る場面が放送される。
(正直、この当時、私は本当に確執があると思っていた。後にネタと分かるが、マットの迫真の演技は流石である)

その後も、幾度となくネタにされるマット。

ジミー・キンメル・ライブの助手である、ギレルモが、マット主演の人気シリーズ『ボーン・アルティメイタム』のパロディを披露。

ギレルモが、マット主演作『エリジウム』のプロモーション・インタビュー時に乱入し、マットの背後には、Estupido(バカ)や、Ass Face(訳すのは自粛しておこう)と書かれたボードを置き、プロモーションを妨害。

『ミケランジェロ・プロジェクト』公開時には、最後に質問をふられた時点で火事のサイレンで発言させない。

遂にマット・デイモンが反撃

流石に腹が立ったマット。当時のキンメルの恋人であるサラ・シルヴァーマンを巻き込み、『I’m F*@#ing Matt Damon』を番組内で披露する。(キンメルの恋人サラと、実は恋仲で体の関係もあるという内容)
このビデオが全米で人気を博し、『I’m F*@#ing Matt Damon』は、エミー賞のオリジナル歌曲賞を獲得する。

マットの親友ベン・アフレックまで…次々にセレブが参戦

『I’m F*@#ing Matt Damon』で、マットに彼女を寝取られたキンメルが反撃のビデオ『I’m F*@#ing Ben Affleck』を番組内で放送。(マットとベンは言わずと知れた親友なのは言うまでもないだろうが、そのベンがキンメルと恋仲であるという強烈な報復だった)

マット・デイモンが番組を占拠

そして、しばらく休戦状態が続くが、マットが『ジミー・キンメル・ライブ』を乗っ取る形で司会者として番組に登場(キンメルはマットの裏でテープでぐるぐる巻きにされて拘束されていた)。そこで、マットは、キンメルとの確執の理由を視聴者に向かって説明する。
「俳優志望だったキンメルが、全ての受けてきたオーディションで自分(マット)に役をとられたことを逆恨みしたのが嫉妬なんだ」と屈辱を味わわせる。

この放送で、マットはゲストのニコール・キッドマンや、エイミー・アダムスへのインタビューを行う。しかも、マットの「どうして、今までこの番組に出なかったの?」という質問に、ニコールは「キンメルって安っぽいもの」と答えたり、エイミーは「前回、この番組に出て、キンメルにキスされた時に、舌を入れられたの」、マット「キンメルって男は最低だな」と、キンメルを侮辱するやり取りを展開する。
また、キンメルの助手のグリエルモのポジションを、アンディ・ガルシアに差し替える。
しかし、マットの親友で、キンメルと恋仲の(設定である)ベン・アフレックがADの振りをしてカンペにキンメル擁護コメントを提示。マットに抗議を行い、泣きながらスタジオから走り去る。

もはや国民的コント化!エミー賞の壇上にまで確執は及ぶ

2016年の第68回エミー賞授賞式でキンメルは司会を務めるが、『ジミー・キンメル・ライブ』が受賞を逃したタイミングで、急にマットが林檎をかじって壇上に登場。誰が受賞したかを聞いたマットはキンメルの番組以外が受賞したことを聞き、「よし!」とガッツポーズをする。
明らかに怪訝な表情をするキンメルに対して、「受賞を逃した後も司会を務めなきゃいけないなんて、さぞかし恥ずかしいだろうね。会場にいる皆、負け犬のジミーを励ましてあげてくれ」と屈辱のひと言。帰り際にも「アフターパーティで会おう」とマットは言うが、キンメルは何のことかサッパリの表情。誘われてなかったんだなという素振りと共に会場を後にするマットに会場は爆笑の渦になる。

遂に戦場はアカデミー賞に…全世界が見守る中、二人の闘争は繰り広げられた

そして、第89回アカデミー賞。
まず、華々しく、ジャスティン・ティンバレークが自身のヒット曲「CAN’T STOP THE FEELING!」を披露し、会場を沸かした後に、司会のキンメルが登場し冒頭の挨拶をする。

分断するアメリカの現状の話からマットへの攻撃に出る

その中で、アメリカが分断されている件に触れ、「意見が違う人間にも差し伸べれば、再び偉大な国になる」と述べた上で、「今夜は癒しと団結の精神の下に、僕も意見の違う人と仲直りする」と宣言。

客席で、うつむくマットが映し出される。
間髪入れず、キンメルが「彼とは旧知の仲だ。知り合った当時は、僕の方が太っていたけどね」と軽いジャブ。

そして、「マットは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を製作し、6部門ノミネートさせた」と珍しく賞賛。続いて「マットは自分で主演できたのに、オスカー級の役柄をケイシー・アフレック(主演男優賞を受賞)に譲り、自分は中国のポニーテール映画(チャン・イーモウ監督の『グレートウォール』のこと)に主演した。しかも、その映画は8,000万ドルの大赤字だ。(会場大爆笑)マヌケだな」と冒頭から絶好調!

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http://www.ndtv.com/world-news/oscar-host-jimmy-kimmel-pokes-fun-at-new-world-under-donald-trump-1663951

次に、この授賞式では観光に来た一般人を、映画俳優が実際に着た衣装見学と騙して、実際にオスカー会場に呼んでしまうというドッキリ企画があったが、その際に、キンメルが、驚く一般人たちにスターを紹介していく際に、マットを「あの嫌な奴は無視していいよ」と雑な扱いをする。

本授賞式で唯一のマットの反逆

歌曲賞にノミネートされた『ラ・ラ・ランド』の「City Of Stars」と「Auditon」のメドレーを、ジョン・レジェンドが歌唱した後、キンメルが客席を歩きながら、本授賞式の音楽監督ハロルド・ウィーラーを紹介していると、マットの横に来た途端に、キンメルがマットに足を掛けられ、つまずく

本授賞式の笑いネタの大半はマット絡みだった

本授賞式では随所で、俳優が自分の憧れの名優と映画を紹介する動画が映し出された。シャーリーズ・セロンが、『アパートの鍵貸します』のシャーリー・マクレーンを。セス・ローゲンが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマイケル・J・フォックスを。ハビエル・バルデムが、『マディソン郡の橋』のメリル・ストリープを紹介し、その素晴らしさを語るものであったが、最後に、キンメルが登場。『幸せへのキセキ』のマットを、先述の俳優たちの様に語り出す。

キンメル「『幸せへのキセキ』に出会ったのはバーバンクのシネコンだった。客席はガラガラで、まるで魔法のようだった。僕とマットと動物たちだけ」

『幸せへのキセキ』のワンカット
スカーレット・ヨハンソンに「なぜ(この土地を)買ったの?」と聞かれ「ダメかい?」と答えるマット

キンメル「ダメかい? 彼が言うとまるで別の台詞のようだ」
※この「ダメかい?」の原語は「why not?」で、ナンパされて断る理由もないよ、という少し卑猥な意味合いも含まれる。キンメルはそのような皮肉を込めている。

『幸せへのキセキ』のワンカット
男性に「よくも、ここを家と呼べるな」と聞かれ「ああ、家と呼べるさ」と答えるマット

キンメル「相手の言葉をくり返せる。凄い才能だ」
※子供にも出来るようなものを敢えて褒める皮肉。

『幸せへのキセキ』のワンカット
息子役のコリン・フォード(ドラマ『アンダー・ザ・ドーム』でもお馴染み)に叱る緊迫したシーン

キンメル「マットはいつも力が入ってる。必死なのが見えるんだ。100回見てもいまだに鳥肌が立つよ。際立った才能はないが、よく働くね」

そして、脚本賞のプレゼンターとして、キンメルとマットの確執コントの常連でもあるベン・アフレックとマットが壇上に登場。その際のナレーションも「ベン・アフレックとゲストです」とマットの名前を呼ばず。

マット「ゲストってなんだよ」
ベン「おまけみたいなものさ」
マット「さっきの映画(『幸せへのキセキ』)の演技、自分なりに気に入ってるんだけどな」
ベン「本気か?」
会場爆笑

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http://www.esquire.com/entertainment/tv/news/a53456/jimmy-kimmel-matt-damon-oscars-2017/

そして、マットがノミネート作を読み上げる前のコメントを喋りはじめると、音楽が鳴る。
※受賞コメントが長い時に、早く終わらせるサインとして、催促のために流れる音楽のこと。
マット「なんだよ、この演出! 待てよ、もう引っ込めって? プレゼンターに巻きは無いだろ?」
会場爆笑
キンメルがオーケストラの指揮をやっている姿が映し出される。

最後に、作品賞の発表の際に、キンメルが「いよいよマットがオスカー像を受賞し損ねるのを目撃できます」と攻撃。
このまま、作品賞の発表間違いという大混乱で式は終わるので、マットとの確執コントも終了。

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© 2017 Entertainment Media Networks Ltd., 26 Great Strand Street, Dublin 1


なんだかんだ、マット・デイモンの人気と株はアップ?

見事、世界中が見守るアカデミー賞でも、いつもと同じテンションで“喧嘩コント”を繰り広げたキンメルとマット。もはや、長年続いている鉄板ネタではあるが、本授賞式を見ている大半の視聴者、特にアメリカ以外の国の人間は、これらの事情を知らないと思われるのに、キンメルも、よくやったと思う。

少なくとも、この確執ネタが勃発するまで、ジェイソン・ボーンのような堅物だと思っていた、マット・デイモンの印象は、いい意味で砕けて好印象が持てるようになったので、彼にとっても、プラスの影響にはなっていると思う。

もはや、アカデミー賞という大舞台でまでやってしまっただけに、行きつくところまで行きついた感もあるが、今後、二人の戦いが何処まで続くのか、非常に楽しみである。

Eyecatch Image:https://youtu.be/4nPuZ9chE7s

About the author

音楽や映画をこよなく愛す、通りすがりのエンタメ馬鹿です。
あのブラッド・ピットに会って、ひと言会話したのが唯一の自慢な、ちっちゃい男です(笑)

某大学芸術学部映画学科、音楽業界を経て、現在フリーのクリエーターとして活躍中。

サッカーが好きな方ならW杯を見ながらビール片手にサッカーの試合について熱く語ることでしょう。野球が好きな人も然り。美食家たちは一流レストランへ趣き、料理の品評をする……それと同様に、私は映画と音楽をこよなく愛し、日頃から多くのエンタメに触れています。

そこで知り合えた、少しでも良質なエンタメや、ちょっとした豆知識、現象などが世の中に広がればいいなと常日頃思いながら執筆しております。通ならではの視点で真剣に映画と音楽を向き合いたい、そんな思いを胸に、今日も映画館へライヴハウスへせっせと走って行きます。お粗末な文章ではございますが、どうぞ、皆さん、ご贔屓にして頂きましたら幸いでございます。
ORIVERcinemaの発展を祈りつつも、私に出来る最大限の努力で、皆様に少しでも多くのここだけでしか得られないレアな情報をお届けできたらと思っております。

真面目かッ!(笑)

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