偶然か必然か?『スパイダーマン:ホームカミング』関ジャニ∞日本語版主題歌とマーベル社長の運命的な関係

2017年8月11日より劇場公開されている、映画『スパイダーマン:ホームカミング』には日本語字幕版と日本語吹替版の2パターンが用意されている。大作映画の例に漏れず日本語吹替版にはいくつかの特徴があり、たとえばトニー・スターク/アイアンマンの吹替を担当してきた藤原啓治が休養から復帰すること、豪華声優陣が脇役として登場することが折に触れて報じられてきた。

そんな中、とりわけ大きな話題となったのが『スパイダーマン:ホームカミング』のジャパンアンバサダーに就任した関ジャニ∞による日本語吹替版主題歌「Never Say Never」である。これは一部映画ファンの間では賛否両論となり、反対派の中には「なぜエンドロールで関ジャニ∞を聴かねばならないのか」といった過激な意見もある……。

しかしちょっと待ってほしい。実はこの「Never Say Never」と、マーベル・シネマティック・ユニバース作品を製作するマーベル・スタジオの社長との間には“運命的”とすらいっていい関係があるのだ。

スパイダーマン:ホームカミング

©Marvel Studios 2017. ©2017 CTMG. All Rights Reserved.


MCU合流を求めるファン&メディア

「Never Say Never」の秘密に迫っていく前に、まずは『スパイダーマン:ホームカミング』という作品の成り立ちを簡単に振り返っておこう。

『スパイダーマン:ホームカミング』は、ピーター・パーカー/スパイダーマンというキャラクターがマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に合流して初めての単独映画(主役を務める作品)だ。これまでサム・ライミ監督が手がけてきた『スパイダーマン』3部作、そしてマーク・ウェブ監督による『アメイジング・スパイダーマン』2部作はMCUとは一切関係なく作られてきた映画なのである。

ではマーベル・スタジオは、なぜスパイダーマンというマーベル・ヒーローの代表的存在を自ら映画化しなかったのか? それはスパイダーマンの映像化権をマーベル・スタジオではなくソニー・ピクチャーズが保有しているからである。完全なる大人の事情によって、スパイダーマンは長らくMCUに合流できなかったのだ。

もちろん多くのマーベル・ファンは、MCUにスパイダーマンが存在しないことを気にかけてきた。なぜ『アベンジャーズ』(2012)にスパイダーマンが登場しないのか。この世界のどこかにスパイダーマンはいるのか。今後MCUに登場する可能性はあるのか……。かつてマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、そのような質問に対して、あくまで“自社とソニーの関係は良好である”と強調するにとどめていた。

スパイダーマン:ホームカミング

©Marvel Studios 2017. ©2017 CTMG. All Rights Reserved.

その後、スパイダーマンは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)からMCUへの合流を果たしたが、今でもファンが合流を強く望んでいるキャラクターは少なくない。20世紀フォックス社が権利を保有するキャラクターたちは未だMCUに登場できないままなのだ。
またソニーは、映像化権を保有している全キャラクターをMCUに合流させるという意向ではない。ソニー主導の「スパイダーマン」スピンオフ作品である『ヴェノム(仮題)』などはMCUと世界観を共有しないことが先日明らかになっている

そうした“大人の事情”に関する問いかけについて、いつからかファイギ社長は「絶対にないとは言わない」と答えるようになっている。たとえば全マーベル・キャラクターをMCUに合流させる予定はないのかと尋ねられた際、彼はこのように話しているのだ。

「これまでの10年で、われわれは僕自身の途方もない夢すら超えたところに到達している。[中略]だからMCUに登場できないままになっているいくつかのキャラクターについて、計画はないけど、でも“絶対にない”とは言わない(Never say never)よ。」

大人の事情を乗り越えて再始動する、新『スパイダーマン』

かつてはスパイダーマンのMCU合流も、とうてい実現しえないような“夢のような話”だった。なにせファイギ社長自身が「『シビル・ウォー』にスパイダーマンを出すことは夢だった」「実現の見込みがほとんどなかったから、あえて公には言わなかった」とすら最近になって明かしているほどである。その夢が叶ったのは、マーベルとソニーが業務提携を結ぶという奇跡が実現したからだ。

すなわち『スパイダーマン:ホームカミング』とは、そんな“夢のような話”を現実にして初めての映画版『スパイダーマン』なのである。きっと「スパイダーマンの合流など絶対にありえない」と考えていた人もいたことだろう。そんな映画の日本語版主題歌に、ファイギ社長のスタンスを表す言葉が曲名となっている「Never Say Never」が起用されたことは、偶然なのか必然なのか……。いや、たとえ偶然にすぎなかったとしても、その曲名は『スパイダーマン:ホームカミング』にふさわしいはずだ。

スパイダーマン:ホームカミング

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ちなみにファイギ社長は、X-MENやファンタスティック・フォーがMCUに合流する可能性以外にも、前述のソニーによる『スパイダーマン』スピンオフ作品の合流可能性、またマーク・ラファロ主演による単独映画『ハルク』の実現可能性についても「絶対にないとは言わない」と口にしている。もっとも、そのうちどれだけが現実になるかはわからないのだが……。

映画『スパイダーマン:ホームカミング』は2017年8月11日より全国の映画館にて公開中

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1989年生まれ。ORIVERcinema編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはわかりづらいまま、少しだけわかりやすくしてお届けできればと思っております。

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