今、地上波を賑わせているのは、他でもない。三十路過ぎた女子(女子?)が、恋愛ができなくて「たられば」垂れながら毎晩のように飲み屋で飲みまくってグータンヌーボしているドラマ、日本テレビ『タラレバ娘』だ。

“逃げ恥”の直後に放映がスタートし、三十路過ぎチェリーボーイのSEと不器用系20代女子に夢と希望を与えた直後に突きつけられるこの現実感。私はこのドラマが好きだ。

 今回は、特にあらゆる年代の女性が共感必須の映画から『タラレバ娘』というものを考えてみたい。
尚、この記事内では結婚をゴール、又は幸せと仮定している。

洋版『タラレバ娘』とも言える映画『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』

https://www.guerillaview.com/reviews/bachelorette-2012

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『タラレバ娘』の恋愛観を語るうえで避けて通れない話題は、ずばり結婚だ。

原作に少し似た雰囲気の洋画として『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』というものがある。キルスティン・ダンスト演じるレーガンがある日、高校時代の仲良しのベッキーに結婚すると告げられる。そこで、自身を含めた美女三人組メンバーに連絡をとって、みんなで彼女の結婚式をお祝いしようという話の筋だが、主に結婚前夜、つまり独身最後の夜に焦点を当てて物語は進行していく。

この映画で赤裸裸に描かれているのは、キャラクターが少し違う三人の三十路が抱える過去への想いやそれぞれの恋愛観だ。

レーガンは、自身が三人組の中でも特に知性も容姿も全てにおいて長けていると信じている。現在も仕事やボランティアを通して人の上に立つ事で、スクールクイーン的ポジションを維持しているのだ。彼氏もいるし、他の二人より勝ち組だと信じていたものの、本当に自分がそうだと実感できる「結婚」というゴールが見える兆しがない事にヤキモキしている。

そう、アラサー女子の恋愛観において“結婚”という二文字はついてまわるのだ。

ケイティはチームのなかでオバカ担当。アパレルに勤めながらワンナイトスタンドを繰り返してばかりで、ステディな関係が築けない。ジェナは元彼を引きずるあまりジャンキー&アルコホリックになるという荒れ具合。

彼女たちは、自分より下に見ていたぽっちゃりな女友達に先を越されてしまった事から、ついにその一夜で精神崩壊。本当は主役であるはずの花嫁を差し置いて、各々の抱える心の闇に向き合ってみるのだ。

 

三人で高校生の頃モテていたという過去の栄光に浸りながら、現実を嘆く様はまさに洋版『タラレバ娘』といえよう。

 

『ヤング・アダルト』に見るアラフォー女子の呪縛

『ヤング・アダルト』という映画では37歳物書きのバツイチであるメイビスが、ある日昔付き合っていた元彼から子供が産まれたお知らせメールを受信する。メイビスは、この元彼に対して未だに未練を持っていて、つまらない女と赤ん坊に縛られる生活を送っている彼が人質となっているようだと思い込む。

そして、なんとそんな彼を救いに(寝取りに)田舎に戻るのだ。自分と彼がまだ運命の赤い糸で結ばれていると信じて。

田舎道を走る時の車内BGMは、彼と付き合っていた頃に聴いていたミックステープ。

役作りのために増量したシャーリーズ・セロンの怪演ぶりは見物ではあるが、悲惨すぎる。

このメイビスもまた、『タラレバ娘』のように昔の過ちや、悔いという呪縛から逃れることができずに前に進めない。 

『タラレバ娘』である女性の共通問題点として挙げられるのは、やはりそのプライドの高さではないだろうか

自分のする事に対する揺るぎない自信を持つ事は良い事である。しかし彼女達の場合、たいていその場にいる自分が一番だと思っているから、相手、特に男性に対するリスペクトが足りない

メイビスはたまたまバーで再会したイケてない同級生に「君がしようとしている事は、他人の人生を壊すことだ」と忠告を受けるが、気にするどころか他人の人生なんてクズ同然に思っているのだ。

 

 「大丈夫、私がどう振る舞おうと彼にとって私が一番」というファンタジーに取り憑かれて、横暴を繰り返して気がつかない間に彼を逃す。そして、数年後になってようやく逃した魚の大きさに気づいたと思えば「たられば」たれてしまうという具合だろう。

上で紹介した二作品は、どれもビデオレンタルショップでは「コメディ」の棚に置かれているだろう。しかし、これは見る人によってはとんでもない「ホラー」なのである。

『タラレバ娘』になる事を回避するには、なによりこの無駄なプライドを上手く対処する事、そして社会を含めた自信の周りに対してより敬意をもって接するべきだろう。でなければ、いずれそのプライドに身を滅ぼされてしまう。

『タラレバ娘』問題は30代女子だけのものではない

カルト的人気を誇るインディーズ映画『ゴーストワールド』の主人公とも言える眼鏡ボブのイーニドはすぐにでも『タラレバ娘』になり得る10代の娘だ。

 

『ゴーストワールド』は高校を卒業後、特に就職もせずに社会のマジョリティをコケにして日々を楽しんでいた少女二人を描いた作品である。しかし、途中でその二人のうちの一人、スカーレット・ヨハンソン演じるレベッカが仕事を見つけて、イーニドとの付き合いを絶っていく。

イーニドはというと、まさに『タラレバ娘』予備軍。とにかく大衆的なもの全てを卑下し、自分の好きなものが正義という具合に生きているので、このまま10年くらい同じ生き方をしていたら間違いなく取り返しがつかなくなるはずだ。

最も彼女が30代になっても、友達も少ないので『バチェロレッテ』のような取り巻きを作ることもできないし、スーパー美人というわけでもないので『ヤング・アダルト』の主人公のように女を使うこともできない。 

しかしながら、映画をご覧いただければわかるように、イーニドには今までに挙げた『タラレバ娘』にはない思い切りがあるという事も事実だ。

自尊心を行きずりの関係で埋める事の危険性 

https://www.flickr.com/photos/toymaster/1470497564/

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この三作品全てに共通するのが、そういったプライドが高い女ほどその自尊心を高める、もしくは女としての自分の需要を確かめるかのようにその辺の適当な男と寝るという事だ。

『ゴーストワールド』のイーニドの場合は、非モテオタクなシーモア。自分の好きなアルバムをガレッジセールに出していて、趣味やテイストが合う事から彼を承認する。しかし、その承認とは彼を愛している証ではなく、自分という人間が誰かに求められるような存在である事に対する証明なのであった。

http://www.rogerebert.com/reviews/young-adult-2011

http://www.rogerebert.com/reviews/young-adult-2011

『ヤング・アダルト』のメイビスは、たまたま会った冴えない元同級生に対して「自分が誰からも愛されない」と泣きわめいて迫る。

『バチェロッテ』のレーガンは花婿側の友人と、ジェナはずっと引きずっていた元彼と一夜を過ごすことに。

実は彼女達ほど、自分が本当は酷く孤独な存在である事をわかっている人はいない。しかしその孤独を行きずりの男で埋めることは、自傷的行為であるしヘルシーではない。その行為そのものが、自身を孤独にしている事に彼女達は気づかなければならないだろう。さもなくば、「結婚」というゴールにたどり着くことは本当に難しくなってしまう。 

漫画/ドラマ版『タラレバ娘』

ここまで、3作の映画とそれに登場する人物を用いて『タラレバ娘』の特徴を探ってきた。

ここで一度、漫画/ドラマ版『タラレバ娘』の登場人物を振り返ってみよう。

倫子:中心的人物。昔イケてないという理由でフッた男が今になって素敵になったからヨリを戻したいと思うも叶わず、傷心した際に若いメンズモデルと寝る。

香:見た目は美人だが、やはり元彼に未練があり、彼女がいる事を知っていてセフレ状態に。

小雪:倫子と香の世話役くらい落ち着いていたはずが、妻子持ちとの不倫にハマる。

ほら、先述の映画のキャラとの共通点が多いのではないか。

どうしたら『タラレバ娘』を脱却または回避できるのか?

簡単だ。「タラレバ」をやめるのだ。

食べて、祈って、恋をしてのジュリア・ロバーツを見習うのだ。あのリズだって、夫と離婚を決意してその辺のイケメン俳優と付き合い始めるも、結局うまくいかずにお先真っ暗だった。それなのに、最終的に人生における幸せを見いだせた。この差異は何なのか。ズバリ、行動力だ。懐古主義に囚われすぎず、前に進むのだ。

ホリデイで恋に悩んだアマンダ(キャメロン・ディアス)でさえ、思い切ってイギリスの田舎という新境地に身を置いてみたのだ。その結果はなんだったか、グレアム(ジュード・ロウ)というイングリッシュアクセント付きのイケメンである。

そして先述のように無駄に高いプライドに見切りをつけ、孤独をその辺の男で埋めないことだ。本当に自分の事を親身に考え、大事に扱う人を見つけるべきなのである。

その点でいうと、実は『バチェロレッテ』のオバカなケイティは、ある進化を遂げていた。

https://jp.pinterest.com/pin/495255290245668041/

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普段から行きずりの関係ばかりだったケイティに限って結婚式の前夜、男と寝なかった。寝る気はあったものの、結局しなかった。それは相手が彼女に高校時代から片思いしていたイケてない男で、彼が「早まるべきでない」と断ったからだ。しかも、めちゃくちゃになっていた自分を助けようとしてくれたその男に、彼女は心を動かされる。

ようやく幸せを手に入れられそうなのに、それを不安に思う彼女は彼に「好きな人とセックスするか泥酔するか以外に、どう一緒に過ごしたらいいかわからないの」と問う。彼の答えはシンプルだった。

「優しくしていればいいんだよ」

これが、レーガンとメイビスが得られなかった(今後得られるかもわからない)教訓であると、私は考えている。
結婚とは、全く違う人間が共に暮らしていく、共生である。相手に対する優しさがなければ、そもそも共生なんて難しいのだ。

今、イーニドのように自分は行動する事なく、何かの物事を批判ばかりして受け入れる事をしていない。または、レーガンのように過去の栄光に未だに浸っていて、メイビスのように何年も前に元彼と復縁できると本気で信じている方。

是非、この際に『タラレバ娘』を脱却してみてはいかがだろう。

多分、今の現状より良い事が起きるはず。

Eyecatch Image:http://www.crushable.com/2012/09/07/entertainment/bachelorette-vs-bridesmaids-debate-lizzy-caplan-kirsten-dunst-adam-scott-599/

About the author

ライター、Ellegirlオフィシャルキュレーター、モデルとして活動中。ヌーヴェルヴァーグと恐竜をこよなく愛するナード系ハーフです。怖がりのくせに、ホラー/サイコ系映画が嫌いではない。得意ジャンルは青春/愛/性。

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